ぜんぜん足りない。
「でも、早く職員室行かないと怒られるかも」
「横で足から血流されてたら気になってしょうがない」
「それはそう、かもだけど」
返事をしている間に、そそくさと歩いていってしまう。
その足は、迷うことなく保健室のほうへ。
ええっ、うそ。
こんな展開アリ?
慌てて追いかけながらも、こおり君の迷惑にならないように感覚を開けて縦並びに進んだ。
──────放課後の保健室に続く廊下にひと気はなく。
遠目から見て、灯りはついてなさそうだった。
「ねえ、もう保健の先生帰ってるのかも……」
「ドア開けてみないとわかんないよ」
「でも電気ついてないし、誰もいなさそう」
「その時はその時」
スタスタ扉の前に歩いていったこおり君。
その取っ手に手をかけてようとして……動作を停止した。