ぜんぜん足りない。
「あ。那月ちゃん、またヒカリくんのとこにいるよ」
ふと、クラスの女の子たち2人の会話が耳に入ってきた。
「ほんとだあ。やっぱ付き合ってるのかなー」
「でもヒカリくん、“彼女いる”とは言ってないらしいよ」
「だけど、“いない”とも言ってないんでしょ? てゆーかそれどこ情報?」
「知らなーい。でもあの顔面で彼女いないほうがおかしいって」
「たしかに。でもソレ、那月ちゃんにも言えてるからねえ」
ふたりは苦い笑顔を見合わせると、
「「絶対付き合ってるよね」」
と、同時に言った。
彼女たちが導きだした結論に、さらなる不安がせり上がってくる。
もしかして、こおり君の本当の彼女は那月ちゃんで、わたしは遊ばれてるだけ?
ううん、大丈夫。
こおり君は、2人きりのときはちゃんと恋人扱いしてくれるもん。
那月ちゃんのことも苗字呼びだし、付き合ってなんか……ないよね。
ドッドッド…って、急に鼓動が早くなる。さらに、ずとんと胃のあたりが重たくなった。
うう……。
さいきん毎日、こんな感じ。