ぜんぜん足りない。


「まさか桃ちんと郡くんが付き合ってるとは思わなくて……。本気じゃない前提でいつも話しててごめんね?」

「いや、ミヤちゃんは悪くないからっ。わたしが黙ってただけだし」

「それに関しては、みやこは郡くんにすごい怒ってる。彼女のこと大事にできない男は地獄に墜ちればいいのに」



眉間にシワを寄せてほっぺたを膨らませるミヤちゃん。だけど、その直後、シュンとした顔になって。


「でも、桃ちんはまだ好きなんだよね……」


うん…って素直にうなずくしかない。

わたしも、地獄におちろ!って思えるくらい嫌いになれたら楽なんだろうけど……。


「付き合っても冷たかったし、結果フラレたし、もう諦める選択肢しかないもん。がんばる」


今は自嘲的な笑顔しか浮かべられないけど、なにごとも、時間が解決してくれるって言うし。

次の恋を夢見て待つしかないよね。


気まぐれで優しくされたことも、態度とは裏腹な甘いキスをされたことも忘れなきゃ……。

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