ぜんぜん足りない。
.
.


「じゃあ、このプリントを運んでくれ。量が多いが、まあ大丈夫だろ」

「はい……」


雑用も、休み時間のたびとなると楽じゃない。

まあ、忘れてたわたしが悪い。これは事実だから耐えてみせよう。



それに、わたしより今は……那月ちゃんがつらそう。


あれから見事に女子軍団に無視されて……。
一時的なものかもしれないけど、黙って見てるのはきついなあ…。



そんなことを考えて、上の空だったのがいけなかった。


「──うわっ⁉」


足先になにかがあたって、体が前のめりになる。

慌てて片足を前に出して、転ばずに済んだものの、上のほうに乗ってたプリントたちがバサバサッと散乱。


ガーン。

最悪!


ええと、ひとまず今手元にあるぶんをどこかに置いてから拾わないと、また二次災害が起こりかねないよね。


あたふたしながらしゃがみ込んだわたし。

次の瞬間、視界に誰かの足元が写った。

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