ぜんぜん足りない。

「ごっ、ごめんなさい。みっちーと隣の席になったときから既に……ほんとは、こおり君が好きで……っ。でも、絶対両想いにはなれないから、口にして傷つきたくないのもあって、嘘ついてました……」


みっちーには抗えなかったし、打ち明けてもいい気がした。

この人なら受け止めてくれそうだって勝手に期待した。



「そっ……かあ…」


歯切れの悪い返事に、本音を口走ったことを一瞬後悔するも、わたしを見る目が優しかったから、誤魔化しの言葉はそっと呑み込んだ。



「わかった」


みっちーはそれだけしか言わなかった。

呆れるでもなく怒るでもなくバカにするでもなく、受け止めたって感じ。

意外とあっさりした反応に拍子抜けしつつも、逆にその態度が妙に嬉しかったりもした。