ぜんぜん足りない。
「桃音ちゃんはまだ残るの?」
「あ、うん。そのつもりだよ」
「さっきも言ったけど、光里は当分戻ってこないよ。待つなら、あと2時間くらいかかると思う」
「っ、いや、こおり君を待ってるわけじゃなくて! 課題を出さなきゃいけないから自主的に居残りしてるんだよっ」
そーなの?って言ってクスクス笑うみっちー。
「今日はこき使われてカワイソーだったもんね」
「恥ずかしいです……」
「あ。そう言えば喉大丈夫?」
「うん。今はずっと喋ってたからガラガラはしない。ちょっとイガイガはするけど」
「そー? 今日は早めに寝なよ?」
「うん。ありがとみっちー」
中身がすっからかんに見えるカバンを手にとって、みっちーは帰っていった。
今度こそひとりきり。
こおり君の荷物とふたりきり……。