ぜんぜん足りない。
「声やっば」
「ウッ」
「水飲むか?」
「あ゛りがとう゛」
コップを受け取って、急いで口に含む。
すうっと通って、いくぶんかマシになった。
「あー、あー……。あ、いい感じかも」
「お前、今日はもう喋んな」
「ええっ」
「喉痛いの甘く見てたら、数日後やばい目見るぞ」
「……気をつける」
と言っても、吹き飛ばし方なんかわからないよ。
あったかいものを飲めばいいのかな?
行きがけにコンビニで袋入りののど飴買えばいいかな?
「学校休んだがよくね」
「それは大げさすぎ。喉痛いだけだよ?」
「お前、悪化させそうで怖え」
「大丈夫だよ〜。金曜日だし、今日乗り切れば土日だもん」
じとっとした目でわたしを見てくる。
まだなにか言いたそうだったけど、大きなため息を落としてスマホを触り始めた。