ぜんぜん足りない。

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キーンコーン…


月曜日のチャイムがいつもより遅いテンポに聞こえるのは気のせいでしょうか。



「桃音ちゃん、ちょっといい?」


学校に休みの連絡を入れるのも億劫で、なんとか登校して机に突っ伏せてたら、那月ちゃんの声がした。



「金曜は傘ほんとにありがとね。あたし、家が遠くだからすごい助かった。これお礼……マカロン。よかったら食べてね」


袋を見ると、有名高級洋菓子店のロゴが入っててびっくり。



「っえ、こんな高価なもの……っ、いいの?」

「あたし女の子に優しくしてもらえるのに慣れてないから、桃音ちゃんに声掛けてもらえてほんとに嬉しかったんだよ? じゃあね」



やや早口でそう告げると、那月ちゃんは自分の席に戻っていった。

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