ぜんぜん足りない。
今ね、にゃんこの気持ちわかった。
気持いいからずっと触れてたい、好きな人に構っててほしい。
もっと、ほっぺたとか、首とか、たくさん触ってほしいよ。
そんな願いとは反対に、おでこに触れてた手は、びく、と戸惑った動きをして離れていく。
「うぅ……だめ、」
離しちゃだめ……。
ぼんやりと視界がひらけた。
目の前に、人影。
雷の中、風邪ひきの中、ずっとそばにいて欲しかった人がいる。
「こおり…くん……」
こんなに近くにこおり君がいるなんて。
夢ってさいこうだあ。
現実じゃもう無理な望みを叶えてくれるんだもんね。
「寒い? 毛布もう一枚持ってこよーか?」
しかも、優しい。
さすが、都合のいいわたしの脳内でつくられた世界。