ぜんぜん足りない。
「なんか欲しいもんある?」
「……」
こおり君の愛、とか答えたら笑われるかな。
呆れられるかな、怒られるかな。
でもこれ夢だし、ちょっとくらい欲しがってみても、いいんじゃないの……。
「薬とかいるなら買ってくるけど」
「……い…な」
「うん?」
薬とかは
「……いらない……」
「でもおまえ、」
「外に行ったらだめ……」
「なんで」
だって、こおり君が部屋から出ていった瞬間に夢から覚めそうな気がして怖いんだもん。
「さみしいから……」
おもむろに手を伸ばした。
こおり君の手をつかまえて、ぎゅっと握りしめる。
「そばにいて……ぜったい、いなくならないでね……おねがい」
夢の中の優しいこおり君は、わたしの手を拒まない。
「こおりくん……」
「うん?」
「…………すき」
だから、そばにいてね。
まだ……もっと、長く
夢からずっと覚めないで。