ぜんぜん足りない。
きおくは褪せない。
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わたしのお母さんは芸能マネージャー。
とある超人気俳優に付いてて、毎日お仕事大忙しの日々。
それは昔から変わらない。
わたしがハイハイできるようになった頃から仕事に復帰して、家に帰ってくるのは、よくて真夜中。
わたしの年齢があがるにつれて、その頻度は減っていって、土日だけ、2週間に1回……1ヶ月に1回……。
今や、年に1.2回。
そんな感じで仕事にパワフルすぎたせいか、なんのせいか知らないけど、お父さんとはわたしが生まれる前に離婚してたって聞いた。
お母さんの妹や、近所のおばさんたちの手を借りて、なんとか順調に育ったわたし。
お母さんが家にいないのが当たり前。
当たり前を当たり前として捉えていられるうちは、平気だった。