ぜんぜん足りない。
『おまえ、今日からオレの妹だからな』
えらそうに指を差してきた律希(小2)の印象は、正直サイアク。
こわくて何も言えずお母さんの後ろに隠れていたところ、
『おまえ暗すぎ!』
と必殺の一撃を食らった。
むり‼
この人がおにーちゃんなんて、無理‼
心底そう思ったけど、お母さんは呑気に『もう再婚しちゃったからしょうがないよ〜』って笑ってた。
あのときはサイコンの意味もわからなかったけど、
『律希くんのパパも、ママと一緒でお仕事忙しいから、ふたりで助け合って頑張るんだよ? きっとこれで、桃音も律希くんもさみしくなくなるからね』
って言うから。
このえらそうにしてるリツキくんも、裏ではわたしと同じようにさみしい思いをしてたんだと思うと、簡単に首は横に振れなくなってたんだ。