ぜんぜん足りない。



『このテレビ一緒にみるぞ』

『ゲーム機貸してやるよ、ほら』


みたいな会話から始まって。



『おまえ、友だちつくれよ』


なんて、ある日いきなり言われた。



『オレが昼休みに女子も誘って陣取りやるから、ももねも来ればいい』


裏ではその女の子たちに、わたしに構ってやってほしいと頼んでたみたいで、妙によそよそしく話しかけられたのを覚えてる。


だけど、それをきっかけに自然と関係が広がって、いつの間にかひとりじゃなくなった。



ぜんぶ律希のおかげ。



『おまえは根暗じゃねーってわかったろ?あと、なんてったってオレの妹だからな。自信持ってればいーんだよ』



これまで閉じこもってた自分が信じられないくらい、学校が楽しくなった。

よく笑うようになった。



『おまえ、笑ったらすげぇ可愛いぞ』




──────律希を好きになったのは

必然だったと思う。


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