ぜんぜん足りない。
だから、ある程度自立した律希とわたしを、家族という鎖で縛るのを終わりにして “くれた ” 。
兄と妹じゃなくて、ひとりの男と女として。
兄妹だったから一緒にいなきゃいけない……という考えとか、
逆に、もう兄妹じゃないから離れなきゃいけない……という考えを、完全に取り払って、自由な選択肢をくれた。
一緒にいるのも自由、離れるのも自由。
律希は勝手に離れるほうを選んで
その考えにわたしを道連れにした。