ぜんぜん足りない。


.

.



マンションの前にたどり着くと、見知った背中があってびくっとした。



「あ、桃音ちゃん。おかえり」


まさかの、律希パパ。

ええ、なんで⁉



「お、お久しぶりです。律希はもう寮に戻ったから、いないですよ?」

「ああ、わかってる。停学中は桃音ちゃんに迷惑かけたね。申し訳ないよ」


「い、いえ全然……っ」

「実は、その律希の停学のことで改めて学校側から話があるらしくてね。急遽仕事を休んで帰ってきたんだ」


「改めて……話……?」


律希パパはうなずく。

まさか、今度は退学とか言うんじゃ……。

一瞬青ざめたけど、そんなことはなかったらしく。



「実は、律希の停学は学校側の事実確認ミスだったみたいでね。不適切な処分だったってことで、謝罪させてほしいと申し出があった」


……うん?
てことは……


「やっぱり、律希は暴力なんてしてなかったんですね……‼」


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