ぜんぜん足りない。
ミルクプリンを食べたかったのは本当。
もともと、プリンはわたしの大好物だし。いつか、こおり君と行けたらいいなって思ってた。
……そう、こおり君と。
今日こおり君が、那月ちゃんたちと遊ぶとか言うから。
その時間に、ひとりで過ごすのは悲しすぎるから。
「あそこいつも並ぶから、終礼終わったら走るよ、桃音」
「うん、オッケ!」
こおり君がわたしのことなんて忘れて遊びほうけてるあいだ、わたしは美味しいものを食べて寂しさを紛らわすんだ。
ミヤちゃんと約束を済ませて、自分の席に戻ろうとしたら、
「楽しそうだねー。なんの話?」
ひょっこり顔を出したのは、みっちー。
昨日電話でベラベラ曝け出してしまったから、なんとなく気恥ずかしい。