ぜんぜん足りない。

慌てすぎて、お店を出てから曲がるべき方向すら一瞬わからなかった。

えっと、家どっちだっけ。

左に行ってまっすぐ、それから、交差点を右……。



──────こおり君、

こおり君、こおり君、こおり君。



あーあ、わたし意志弱いな。

嫌いになりたいのに、ちっとも嫌いになれない。



ううん。わたしが弱いんじゃなくて、こおり君がずるいんだよ。

少しでも距離を置いたら楽になるかな?と思ってたのに、1日ももたないなんて。

今すぐ会いたいよ。

冷めた目でいいから向けてほしいよ。



こおり君、会いたい。

こおり君も、ちょっとは同じこと思ってくれてるの……?

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