ぜんぜん足りない。

──────
───



寝たらいやなこと忘れるっていうくせに、見た夢は最悪で散々だった。


街中で、こおり君が女の子と歩いてて、わたしが追いかけたらスタコラ逃げるの。

相手の肩を大事そうに抱きながら、鬱陶しそうにわたしを見て。


やっと追いついたって思ったら、すごい冷たい目で

『桃音なんか、もういらない』

って言うんだ。



……なにが悲しいかって、

それが、現実とあんまり変わらない状況だってこと。


いやだよもう。

好きじゃないなら、振ってくれたほうが楽……なのに。


< 5 / 341 >

この作品をシェア

pagetop