ぜんぜん足りない。
あつ、すぎる。
頭の中から、ヤカンが湧いたときのピーって音が聞こえてる気がした。
「……ぅ、」
唇を甘噛みされて、胸がきゅっと狭くなる。
息するタイミングを少しだけ与えてくれたかと思えば、今度はやさしく、それでいて強引に唇をこじ開けるようとしてくる。
「……、っ、はぁ」
なけなしの思考力で拒もうとするんだけど、好きな人の甘い誘惑には勝てっこなくて。
「ん。甘……」
耳元で囁かれたら、もう大変。
頭はぐらぐらするし、心臓は破裂しそうだし。
「こおりくん……っ、」
「うん?」
「あついよ……」
「ん。そーだね」
「ぅ……、くちびる、とけそう」
「じゃあ、もうやめる?」
唇を離されたとたん、泣きそうになるから、たぶんもうだめ。
「まだ……」
ぎゅっと抱きついたら、ひと呼吸おいて、背中に腕を回してくれた。