ぜんぜん足りない。
こおり君のバカ。
さいてー、どクズ、冷血人間!
お風呂に浸かってても、体洗ってても頭洗ってても、トリートメントをなじませてても、
何しててもこおり君のこと考えちゃう。
考えすぎて、いよいよ目頭が熱くなってきた。
脱衣所でパジャマに着替えてたら、目からぽたぽた雫がこぼれてきて。
誰もいないからって我慢しないでいたら、止まらなくなった。
そんなとき。
──ピン、ポーンと、インターホンの音が聞こえて、びくり、肩があがる。
……あ、宅配便に違いない。
いつもお母さんが、出張先から食材とか衣類とか送ってくれるから。
ささっと水で顔を洗って、玄関まで走った。