年の差婚で娶られたら、国王陛下の愛が止まりません
プロローグ
……なんて綺麗なんだろう。
キラキラと光を弾くブルーグリーンのまあるいトンボ玉は、お父さんから貰った大切な宝物。私は指先に摘まみあげたトンボ玉を、目の前でクルクルと翳す。
「……だけど、セーラのブルーグリーンの瞳はこれよりもっと綺麗だった」
宝物のトンボ玉は元々ふたつあったのだが、そのひとつは昨日、友人になったセーラにあげた。
セーラは貴族だが、私たちは身分の垣根を越えて、すぐに友人になった。
「私、セーラの瞳が好き。ううん、私、セーラが好き!」
昨日のセーラとの一幕を思い返せば、自ずと頬が緩んだ。
「リリア、お父さんたちが帰ったわ。すぐにお夕飯よ、降りていらっしゃい」
「はーい」
階下からお母さんに呼ばれ、トンボ玉を机の引き出しにしまうと、自室を出て食堂に駆けおりた。
「わぁ、美味しそう!」
食卓には既に、温かな湯気を立てる一家五人分の夕食が並んでいた。私が自分の席につくと、作業着から着替えたお父さんたちも、揃って食堂にやって来た。
「おかえりなさいっ! お父さんたち遅いよー! 私もうお腹ペコペコ!」