年の差婚で娶られたら、国王陛下の愛が止まりません
「ありがとうございます。お言葉に甘えて、使わせていただきます」
 促されるままポーチを開け、中味を目にした瞬間、私は首を捻った。
「……あ、ええっと?」
 私には、初めて目にするそれらの使い方が分からなかったのだ。
「これはね、こんなふうに肌着に取り付けられるようになっているわ。それからこれが、専用の肌着よ。好みもあると思うけれど、ひとまずの事と思って使ってちょうだい」
 ゴードン伯爵夫人は私の無知にも、もう驚いた様子を見せなかった。いつも通り穏やかな表情で、そっと中から一枚、シート状に加工された脱脂綿らしきものを取り上げて、私に向かって身振り手振りで使い方を教えてくれた。
「……すみません。ありがとうございます」
 私は恐縮しきりで、今度こそポーチを手に、足早に手洗いに向かった。

 教わった通りに手当てを終えると、汚れたドレスと肌着を手早く水で流して吊るし、着替えを済ませてから部屋に戻った。
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