年の差婚で娶られたら、国王陛下の愛が止まりません
「……でも、セラヴィンさんが毒に体を慣らしていたのが不幸中の幸いでした。犯人は、それを知らなかったようですが……。とにかく、セラヴィンさんに何事もなくて安心しました」
 私はセラヴィンさんの胸の鼓動を聞きながら、あえてその先を考える事を放棄した。今はただ、彼が無事だった一点を神様に感謝した。
 けれど私の言葉に、セラヴィンさんは重く押し黙ったまま答えない。
「どうかしましたか?」
「……ここは現場保持のために封鎖する。いったん、部屋に場所を移そう」
 セラヴィンさんは近衛隊長に目配せすると、私の肩に手を添えてそっと促す。
「あ、はい……」
 セラヴィンさんはまるで、私を懐に守ろうとでもいうように、肩を抱く手にギュッと力を篭めた。
 私は彼に半ば抱えられるような恰好で食堂を後にした。


「リリア、聞いてくれ。この犯行は俺を害する意図でなされたものではない。おそらく今回の犯行で狙われたのはお前だ」
 自室に戻り、しっかりと扉を閉じた後にもたらされたセラヴィンさんの第一声。
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