年の差婚で娶られたら、国王陛下の愛が止まりません
第七章
リリアの部屋を出た俺は、近衛隊長らと合流し、厨房内の現場保持と検証の指揮を執った。
調理と配膳に関わった職員は、既に厨房に併設する職員控室に集められていた。俺はその中で、一人の給仕係の動向を注視していた。
「近衛隊長」
声を低くして近衛隊長を呼びつけた。
「配膳ワゴンで料理を運んだ給仕係の男から目を離すな。それから、奴のボディチェック、聴取は慎重にあたれ」
「はっ」
近衛隊長は俺の指示に驚いた様子を見せなかった。ここまで共に数々の修羅場を切り抜けてきた近衛隊長も、男に対して感じるところがあったようだ。
俺は不審な言動をする者がいないか、近衛による聴取の進捗を注意深く見守った。
「……セラヴィン様、給仕係の男のボディチェックと聴取が終了いたしました。所持品からは何もそれらしい物は検出されませんでした。聴取に関しても同様です」
「そうか。……引き続き、男の動きを注意深く監視しろ」
「はっ」
近衛隊長からの報告を受けながら、しかし俺にはどうしても男が白とは思えなかった。