年の差婚で娶られたら、国王陛下の愛が止まりません
「食材自体は同じでございます。ただ、食べやすいようにと、料理長が盛り付けに少々アレンジを加えたようでございます」
 俺の問いに、給仕の女官はほんの一瞬だけリリアに労しい目を向けて答えた。
 ……なるほど。同じ食材も、このようにハーブやスパイスを多用して盛り付けると随分と目に楽しい。
 華やかな料理でリリアの食が少しでも進みやすいようにとの、料理長の心遣いに違いなかった。
「そうだったか、料理長に礼を伝えておいてくれ」
「本当に綺麗で、食べるのがもったいないくらいです。私からも、よろしくお伝えください」
 リリアはそう言って、微笑んでフォークとナイフを手に取った。
 しかしその微笑みとは裏腹に、リリアの食の進みは目に見えて鈍かった。そうして食事の途中、ついに彼女は口元を押さえ、フォークとナイフを置いてしまった。
 ほんの数時間前に、料理に致死性の毒が仕込まれていたのだから無理もない事とは思いつつ、俺はリリアが心配でならなかった。
 ……こうも食が細くては体が持たない。
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