年の差婚で娶られたら、国王陛下の愛が止まりません
「え!? い、いえ! 私、自分で食べられますから」
 更にムニエルを取り分けようとする俺に、リリアが少し慌てた様子で待ったを掛ける。
「そうか」
 切り分ける手を止めながら、内心では少し残念に感じていた。
 リリアはそんな俺を横目に、さっそく自分の手にナイフとフォークを握ると、丁寧にムニエルを切り分けて口に運ぶ。
 それを見れば俺の心もすっかりと軽くなり、自分の食事を再開させた。
「……不思議ですね、料理は確かに美味しいです。だけどさっき、あんなにも美味しいと感じたのは、もしかしたらセラヴィンさんの手ずから食べさせてもらったからかもしれません」
 料理を飲み込んで、リリアがポツリと小さく零す。
 リリアの呟きは、否応なしに俺の胸を熱くした。
「やはり俺が食べさせてやる! なに、遠慮はいらんぞ。ほらリリア、あーんだ」
 俺は、今まさに口にしようとしていたフォークをリリアに向かって差し出す。ムニエルを手に再び身を乗り出してみせる俺に、リリアは両腕を突っぱねて、首を横に振る。
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