年の差婚で娶られたら、国王陛下の愛が止まりません
「ちょ、セラヴィンさん!? 小さい子供じゃあるまいし恥ずかしいですから! もう、セラヴィンさんってば揶揄って……」
 リリアがクスクスと可愛らしく笑いながら、頬を膨らませる真似をする。そんな些細な仕草が苦しいくらいに可愛い。
「別に揶揄ったわけではないのだがな……」
 突っぱねられて、しぶしぶ手を引っ込めたけれど、俺はリリアが望むなら全ての料理を喜んで手ずからその口に運ぶ。
 しかしこれ以降、俺が手を出さずともリリアはメインの皿を綺麗にたいらげ、最後のデザートまでを完食した。
「セラヴィンさん、ありがとうございます」
 食後のコーヒーを飲んでいると、リリアが唐突に口にした。
「何の事だ?」
「食事です。本当を言うと、食べる事が怖かったんです。少しでもお昼の一件に考えがいってしまうと、全然食欲も湧かなくて……。きっと、ただ食べろって言われていたら、食べられませんでした。だけどセラヴィンさんはそうじゃなかった。……あなたのおかげで食べられました」
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