年の差婚で娶られたら、国王陛下の愛が止まりません
 その次の瞬間、突然ドンッと背中を押された。
 ――バタンッ。
 衝撃で私が小屋内に倒れ込むと、背後で扉の閉まる音がした。……え?
「や、やだっ!? 開けて!!」
 慌ててドアハンドルを握り、押したり引いたりしてみるが、扉は一向に開く気配がない。
「ここから出して!!」
 私はしばらく扉を叩きながら叫んでいたけれど、外からの返事はなかった。
 ――ジ、ジジッ、ジジッ。
 なに? 私が不自然な音に気付いたのは、諦めて扉を叩くのをやめてからだった。
 音のする方に慌てて目線を向ければ、敷き藁から上がっていた炎が一気にその勢いを増していた。
「……うそ。なんで?」
 それは、明らかに不自然な火の回り方だった。
 扉が閉ざされた事ばかりに気が取られ、状況把握が疎かになっていた。だけどよくよく見ると、乾いた藁の一部は色を濃く変えている。そしてその色の濃い部分を中心に、炎は燃え盛る。
 ……たぶん、油だ。
 私はここにきて初めて、自分が明確な意図を持って焼き殺されそうになっている事に気付く。
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