年の差婚で娶られたら、国王陛下の愛が止まりません
 ちなみに、厨房内で調理に関わったのは、見習いも含めれば両手の人数にも達していたが、調理後の段階で毒見役の実食が入っており、この毒見役に異変は見られていない。
 これらの状況を鑑みれば、給仕係の男が容疑者の最有力。
 しかし、状況証拠ばかりで犯行の物証はなく、この男を犯人と断定するには少し弱い。最終的に自白に頼る手段もなしではないが、安易に取りたい方法ではなかった。
 ……さて、どうしたものか。
「セラヴィン様、よろしいでしょうか?」
 近衛隊長が俺の政務室を訪ねて来たのは、まさにそんな時だった。
「なんだ」
「料理長補佐の男が、給仕係のルドルフに関し、少々興味深い情報提供をしてまいりました」
 給仕係のルドルフというのは、現在容疑者の最有力として浮上している男の名だ。このルドルフの情報が、まさに今、喉から手が出るほど欲しい物だった。
「……ほう。その男は今どこだ?」
「最初に聞き取りをしたサイモンの判断で、接見室に待機させております」
「そうか、サイモンが……」
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