年の差婚で娶られたら、国王陛下の愛が止まりません
 サイモンは近衛第二部隊の部隊長で、リリア奪還に際しては、マクレガン侯爵の対応を任せていた。そしてこの第二部隊というのは特殊隠密部隊で、サイモンは情報収集能力、人心掌握術に長け、優秀な取調官としての一面も持っていた。
 そのサイモンが興味深いと判断したのなら、料理長補佐の男が、犯人についての決定的な情報を持ってきた事は確実だった。
「すぐに向かう。俺が直接話す」
「はっ」
 俺は政務机を立つと、男が待つ接見室に向かった。
 
 接見室に着くと、男は俯き加減に背中を丸めて座っていた。
 俺が卓を挟んで男の向かいに座ると、俯いていた男が緩慢に顔を上げた。そうして俺を見た次の瞬間、男は目を見開いて、弾かれたように椅子から立ちあがった。
「陛下っ!?」
「そんなにかしこまる必要はないから、座ってくれ。それよりも、先ほど其方がサイモンに聞かせた内容をもう一度俺にも聞かせてくれ」
「は、はい」
 狼狽する男に向かって告げれば、男は幾度か目を瞬かせた後、ゆっくりと腰を下ろした。
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