年の差婚で娶られたら、国王陛下の愛が止まりません
「セラヴィン様! 今報告にあがろうと思っていたところです!」
 俺が近衛隊長の待機する部屋に向かい廊下を歩いていると、向かいから近衛隊長が血相を変えて駆けてきた。
「一体どうした?」
「つい今しがた、ルドルフが監視の目をかい潜り、行方をくらませました」
 近衛隊長から聞かされたのは、予想だにしない報告だった。
「状況は?」
「ルドルフが手洗いで勤務を離れた後、勤務配置になかなか戻らぬ事を訝しんだ近衛が確認に向かったところ、手洗い場の窓から外に逃走した模様です。現在、近衛兵が手分けして行方を追っております」
「リリアは今も自室か? お前の元になにか報告は入っているか?」
 リリアが場所を移せば、護衛の任にあたる近衛兵から報告があがる。それらの情報を統括する立場にあるのは近衛隊長だ。
「いえ、特に報告は受けておりません」
 その近衛隊長に報告がないのなら、リリアは自室から出ていない。
「そうか」
 ルドルフは外に逃走したという。ならばルドルフは、単純に差し迫る捜査の手を躱しただけか?
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