年の差婚で娶られたら、国王陛下の愛が止まりません
「非番の近衛も捜索に投入し、ルドルフの確保を急げ」
「ハッ!」
 俺の指示を受け、近衛隊長は踵を返して駆け出した。同時に俺も、リリアの部屋に向かって走っていた。
 リリアは事件の後は、本を読んだり、これまでの妃教育の復習をしたりと、自室で静かに過ごしていた。同室には女官長はじめ、護身の心得を持つ侍女が常時控えているし、部屋の外には手練れの近衛兵が複数人待機している。彼女が口にする飲食物も、管理は徹底しており、再びの毒物混入はまずあり得ない。
 ……だからリリアの身に、何があろうはずもない。
 頭では思いつつ、何故か胸が騒いだ。俺は言いようのない不安に突き動かされ、彼女の部屋に駆けつけた。
「リリアはいるか!?」
 突然現れた俺に近衛兵が目を丸くした。
「リリア様でしたら侍女と共に散歩に――」
「何故報告をあげなかった!?」
 リリアが外に出ている!?
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