年の差婚で娶られたら、国王陛下の愛が止まりません
 頭上に響く不穏な物音で見上げれば、燃え滾った天井の梁が崩れ落ちてくる。
 私はなす術なく、スローモーションに迫ってくるそれを見つめていた。
 ――ドォォオオーンッ!
 その時、大きな爆発音と共に衝撃が体を襲う。
「リリア――!!」
 ……え? セラヴィンさんの声が聞こえてくるのはおかしいと、ふと、疑問が過ぎった。それにあの時、こんな爆発音はしただろうか? 私は父の腕に抱かれ、ガラス窓を突き破ったのではなかったか……?
 ……ううん。これは私の見ている夢。だから、必ずしも忠実に事実を辿るわけではないのだ。
 物思いは一瞬で、私はすぐにこれが夢の中での事と納得した。
 夢の続きで、私は硬く弾力に富んだ何かにすっぽりと抱かれていた。私を抱くそれは濡れた感触がした。
 え? 薄く瞼を開こうとしたけれど、大判の布のような物を掛けられて、視界が遮られてしまった。掛けられた布も、私を抱くその人と同様に濡れていた。
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