年の差婚で娶られたら、国王陛下の愛が止まりません
第九章
リリアを捜して庭に向かう途中で、園芸小屋に向かう近衛隊長と偶然に行き会った。火事の一報を聞かされたが、近衛隊長の元にもいまだ詳細な情報は上がっておらず、この火事にリリアが巻き込まれているかは不明だった。
駆け付けた時、園芸小屋は黒々した煙に覆われて、木材の継ぎ目からは燃える炎が立ち昇っていた。
火元と思われる東側の壁が一番燃え方が激しく、木製の壁は今にも焼け崩れそうになっていた。
「陛下! 隊長!」
近衛兵が数名、その付近に集まり消火を試みていた。この火事の規模で近衛兵がまだ数名しか駆けつけていないところを見れば、火の回りの異常な速さが予想できた。
この火の回り方……、作為的に作られたものか!?
「状況を報せよ! 中に人は!?」
「わ、わかりません! 立ち昇る煙に気付き駆けつけた時には、既にこの状態で……」
近衛隊長の問いかけに、しかしまともに答えられる者はいない。
……クソッ! リリアはまさか、この中にいるのか!?