年の差婚で娶られたら、国王陛下の愛が止まりません
 すぐに開始された御殿医らの処置を見守りながら、俺の胸には安堵や怒り、後悔といったあらゆる感情が入り乱れていた。
「外傷は軽度のヤケドと、擦り傷がいくつか見受けられる程度です。また、喉の炎症も僅かです。気を失ったのは、心身の疲労の限界と、セラヴィン様のお顔を見た安堵からと推察いたします」
 応急的な確認を終えた御殿医が穏やかな表情で告げる。
「……そうか!」
 聞かされた瞬間、深い安堵が全身を満たし、フッと力が抜けていった。グラリと体が傾ぎそうになるのを、足を踏ん張って堪えた。なんとか両足で大地を踏んで前を向くが、目に映る景色はグラグラと撓んでいた。
 聞かされたリリアの無事に、内側から震えが走り、目頭にもジンとした熱が溜まった。
 ……よく、リリアを守ってくれた! 俺は立派にリリアを守りきり、形を変えたそれらを、固く握り締めた。
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