年の差婚で娶られたら、国王陛下の愛が止まりません
 お義父様はスラスラと流れるように事実と異なる内容を語り、お母様はそれに微笑んで頷いた。
「まぁ、そうでしたの。本当にリリアはいつまでも甘えたがりで困ったものね。さぁあなた、ここはもう出て食堂に行きましょう。……リリア、あなたは自室に戻り、己の甘えた態度を反省なさい」
 お母様は私に向かって吐き捨てるように言い、お義父様の背中をそっと促した。

 ――カタンッ。

 お母様とお義父様が、扉の向こう側に消える。
 その瞬間、私は湯船の壁をズルズルと滑り落ちるようにして、力なく頭頂までお湯に沈んだ。
 目からあふれる大量の涙が、潤沢に張られたお湯に混じる。声にならない声が、呼気と共に口から漏れ出て、あぶくになって水面にのぼる。
 ……悲しかった。
 この状況でお母様が見せた、私への態度……。そして出て行く瞬間に、お母様が私に向けた侮蔑の篭った眼差し……。それらが残像となって、こびりついて離れない。
 ……だけど私に、悲しむ資格はないでしょう?
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