年の差婚で娶られたら、国王陛下の愛が止まりません
 俺はサイモンを制し、男の表情が窺える位置に立った。サイモンは再び席に着くと男の聴取を開始した。
「陛下とリリア様の料理に毒を盛ったのはお前だな」
 サイモンからの第一声に、男は静かに首を縦に振った。
「侍女と共謀し、園芸小屋の藁に油を仕込み、火を放ってリリア様を殺害を企てたのもお前だな」
 再びの質問にも、男は小さく頷く事で答えた。
「此度の一件に関し、何か申し開きはあるか」
 男は無言のまま、一度だけ小さく首を横に振る。ここまで、男は一言も声を発しなかった。
「……ならば、質問の仕方を変えよう。誰がお前にリリア様殺害の指示をした? これは取引と思ってもらって構わん。洗いざらい話し、捜査への協力を約束するならば――」
「話しませんよ。俺、命なんて惜しくないんです」
 サイモンの言葉を遮って、ルドルフは声を上げた。これまで俯き加減で隠していた顔を凛と上げ、ルドルフは言い切った。その表情は場違いなくらい晴れやかで、俺は過ぎった違和感に突き動かされ、ルドルフに向かって踏み出した。
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