年の差婚で娶られたら、国王陛下の愛が止まりません
「そうじゃなきゃ、こんな馬鹿な事、しや、し……ませ……っ」
「おい!!」
「どうした!?」
 俺が駆け寄るよりも一瞬早く、突然ルドルフの呂律が回らなくなった。そうかと思えば、ルドルフは目を見開いたままガクガクと体を震わせ始める。
「……ぁ、……ッ、グッ!」
 宙に向かって震える唇が動くが、まともな言葉にならない。やがてルドルフの口からは、苦し気な喘ぎ声が漏れるばかりになった。
「大至急御殿医を呼べ! 毒物服用の可能性がある!」
 サイモンが声高に叫べば、扉近くに配置されていた近衛兵が医務室に向かって駆けていく。しかし、御殿医はきっと間に合わないだろうと、俺にはそんな予感がした。
「サイモン! 応急で胃腑を洗うぞ、手伝え!!」
 それでも万が一の希みを懸けて、現状出来うる最善の手段で動いた。
「はっ!」
 俺がありったけの水袋を引っ掴んで駆け寄れば、サイモンが男の口をこじ開ける。胃に大量の水を注ぎ入れられながら、男は大粒の涙を零して目をまん丸に見開いていた。
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