年の差婚で娶られたら、国王陛下の愛が止まりません
 私は政変の痛手から今まさに復興途中のニルベルグ王国に暮らし、すぐ間近で寝る間も惜しんで復興の指揮を執るセラヴィンさんを見てきた。
 セラヴィンさんが私をこの場所にとどめ置く。
「敬意だなんて、買い被りです。私には、いつだってセラヴィンさんが指標であり、そして目標なんですから」
 セラヴィンさんは辛い過去をバネにはしても、恨みに捉われる事はない。いつだって前を向き、ニルベルグ王国のより良い未来に思いを馳せる。
 怒りや憤りに囚われては、道を見誤る。それらの感情はなにも生み出さない。
 これは、セラヴィンさんの背中が私に教えてくれた。
「馬鹿な事を……。いつだってお前の存在が俺を正しい道へと誘う道しるべだ。そしてお前と歩むその道は、いつだって祝福に満ちている」
「セラヴィンさん……」
 今はまだ、その背中を目印に進む。だけど私はいつか、その隣に追い付いて並ぶのだ――。


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