年の差婚で娶られたら、国王陛下の愛が止まりません
第十章
リリアの寝室から政務室に戻れば、スコット子爵夫人の葬儀に列席する使者の手配や一連の事件の後処理、迫る婚姻式の調整など、やるべき事は山積みだった。
ちなみに、事件に関して言えば、主犯であるマルグリットが毒の影響で意識混濁となっており、いまだ本人からの証言は何一つ取れていない。もっとも、証拠は既に十分過ぎるほど上がっており、今更本人の証言に重きを置くわけでもない。なにより、意識がはっきりしていたところで、マルグリットからすんなりと証言が引き出せるとは誰も思っていなかった。
しかし、俺には訊ねてみたい思いがあった。
――コンコン。
「御殿医による解毒が功を奏したぞ。マルグリットの意識は正常に戻ったそうだ」
ルーカスからの報告は、まさにそんなタイミングで寄越された。
「そうか」
「おい!? まさかお前が直接行くのか!? 正気でも、あの女が今更何か吐くとも思えんぞ」
政務机を立った俺に、ルーカスが声を上げた。
「……処刑後には逆立ちしたって聞けんからな。生きているのなら、もしかすれば聞けるかもしれん」