年の差婚で娶られたら、国王陛下の愛が止まりません
 全身から汗が噴き出して、ドクドクと鼓動が騒ぐ。極度の緊張で、目の前が白黒した。けれど、頭だけは休まずに、この場の最善を模索していた。
 ……布の向こうに、何かがいる! ネズミや猫、ハクビシンといった小動物であればいい。
 けれどここは、私が自分自身の手で掃除をし、破損個所は木材で補修もしているのだ。ならば侵入経路はこの戸口となるが、私が訪れた時、戸はきちんと閉まっていた。
 これらを加味すれば、自ずと知れる。中の侵入者は、自らの手で侵入後に戸を閉める事の出来る、人間だ……!
 ゴクリとひとつ、喉を鳴らす。
 同時に私は、覚悟を決めた。
 ……謝ろう。
 家人の誰であるかは分からないが、こんな場所にお義父様やお母様がいるとは思えないから、きっと使用人の誰かだ。戸の向こうの人物が誰であれ、ここの存在が見つかってしまったからには、確実にお母様に報告が上がる。
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