年の差婚で娶られたら、国王陛下の愛が止まりません
「リリア嬢、あんたはこれまで多くの苦労をしてきてる。王妃となる事で、今後も苦労はあるだろう。だが、これからは苦しい時、思い悩む時、夫のセラヴィンや実家の俺達をいくらだって頼れ。あんたの未来には、きっと苦労以上に喜びの多い人生が待っている。リリア嬢、いや、義妹よ、幸せになれ」
 目頭がジンと熱を持つ。飾らない義兄からの祝福に胸が詰まった。
「ルーカスさん……いえ、お義兄さん、ありがとうございます」
 ルーカスさんは柔らかな笑みで頷いた。
「それじゃリリア嬢、おやじ、司祭とセラヴィンが待っている。登場してくれ」
 告げられた入場の指示に、私は滲む涙を拭ってスッと前を向く。
「では、参りましょう」
 ゴードン伯爵が、先ほどの言葉など嘘のように、隙のないスマートな所作で私に腕を差し出した。
「はい」
 私は差し出された腕を取った。
「リリア様、自信を持って」
 背中に夫人の励ましを受けて、ゴードン伯爵のエスコートで大広間に踏み出せば、盛大な拍手喝采が響き渡った。
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