年の差婚で娶られたら、国王陛下の愛が止まりません
「はははっ! 一番の幸せ者の座を譲る気はないのだが、なかなかどうして! リリアには敵わんな!」
 ……体が宙に浮きあがるみたいに、ふわふわした。
 それくらい、愛しい人の微笑みには力がある。それは心をいっぱいの幸せで満たす、まさに魔法の力。
 その眩い笑みを見上げ、ゆっくりと口を開く。
「セラヴィンさん、誰もが己を世界一の幸せ者だと胸を張れる、そんな国って素敵だと思いませんか?」
 私は今、溢れるほどの幸せの中にいる。だけど私は自分だけ幸福を享受して、それで終わりにはしたくない。そんな思いの断片を、私はセラヴィンさんのブルーグリーンの瞳に向かって告げた。
「それが理想と言えるだろう」
 唐突な言葉にも関わらず、セラヴィンさんは真摯に頷いて答えた。
「ならばその理想を、私はどこまでも追い求めようと思います。ニルベルグ王国に住まう全員が幸せと胸を張って言えるように、私はそのためのあらゆる努力を厭いません」
 語ったのは、私の決意。
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