年の差婚で娶られたら、国王陛下の愛が止まりません
 セラヴィンさんはかつて、王妃という重責に怯える私に『微笑んで隣にいてくれれば、最低限王妃としての体裁が整う』と、そう言った。当時、この言葉に、私が僅かばかりの救いを見出した事は事実だ。
 だけど今、その言葉は私にとって救いではない。
 妻として、そして王妃として、私はセラヴィンさんに甘えるだけではいたくない。
「セラヴィンさんの懐に守られているのは安心で、心地好くて……。なによりその選択は、私にとって一番簡単なんです。だけどそれでは、本当の意味でセラヴィンさんの隣には並べません」
 私が望むのは、自分の足でセラヴィンさんの隣を歩む事――。
 夫婦だから、当然その重荷を共に支え、分け合う事もあるだろう。ならば私は、より重い責を負うセラヴィンさんの重荷こそ、引き受けたい――!
「この婚姻式が終わったら、委譲の可能な政務を一部、私に引き継いでいただけませんか? 復興支援や各地の慰問、視察といった部分から、手伝いが出来たらと思っています」
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