年の差婚で娶られたら、国王陛下の愛が止まりません
エピローグ
セラヴィンさんの妻になり、ニルベルグ王国の王妃となって、季節がいくつか巡った。
王妃としての日常は目まぐるしく、毎日が駆け足に過ぎていく。
「ここまででいいわ」
「はい、王妃様。おやすみなさいませ」
私は追従する侍女を寝室の扉の前で下がらせると、自らの手でドアハンドルを引いた。
――キィィイイイ。
セラヴィンさんと共に公務に励む、忙しくも充実した今に、私は幸福を感じている。とはいえ、こうして一日の終わりに夫婦の寝室に足を踏み入れた時は、ほっと肩の力が抜ける。
セラヴィンさんと過ごす夫婦の寝室の先は、改築をして扉一枚隔てた向こう間に子供部屋が続く。そんな家族だけの空間は、王宮内にあってまさに気の置けない我が家といってよかった。
……でも、さすがにもう子供達は眠っているわね。
――バタンッ。
「お母様おかえりなさい!」
私が子供部屋に続く扉に顔を向けるのと、五歳になる長女が飛び出してくるのは同時だった。
「あらアシェリー、まだ起きていたの」
パタパタと駆け寄って来る長女のアシェリーを抱き上げる。