年の差婚で娶られたら、国王陛下の愛が止まりません
 一年後の未来を指折りに数えながら過ごす日々は、どんなにか輝きに満ちたものとなるだろう。
「一年後に待っています」
 私はセラヴィンさんを見上げ、しっかりと告げる。
「必ず迎えに来る」
 見つめ合う視線に温度などないはずなのに、彼の熱い眼差しは、私を焼いてしまうのではないかと錯覚した。
 セラヴィンさんが私の心と体を熱くする。胸の高鳴りは苦しいくらいで、彼に逆上せてしまいそうだった。
 セラヴィンさんがスッと前に進み出て、握っていた火の付いた木切れを小屋に放った。落ちた木切れから、火が見る間に小屋へと燃え移る。やがて木造の小屋は、赤い炎に包まれた。
 燃えゆく小屋を前にして、私の心は静かだった。
「リリア」
 セラヴィンさんが歩み寄り、大きな手がスッと顎にあてがわれた。その手に僅かな力が篭もり、クイッと上向かされて、トクンと鼓動が跳ねる。
 鼻先が触れそうな距離にまでセラヴィンさんが迫り、反射的に瞼を瞑れば、優しい温もりがそっと唇に触れる。
< 52 / 291 >

この作品をシェア

pagetop