年の差婚で娶られたら、国王陛下の愛が止まりません
第三章


 セラヴィンさんとした再会の約束が、私の心を支えた。辛い時も苦しい時も、瞼を閉じればいつだって、彼の熱い眼差しが私を励ましてくれた。
「もうじき一年? ……早いなぁ」
 あと数日で、あの日から一年になる。セラヴィンさんとの”約束の日”は目前だった。
 ……だけど今日で、セラヴィンさんとの再会を指折りに数えて過ごす日々は終わり。
「私、今日を区切りとして、あなたとお別れするわ」
 私にとってこの一年は、まるで一生分の幸福を凝縮したみたいに、幸多い日々だった。
 そうしてこの間、私は眠りの中で幾度となく体感した。セラヴィンさんに「迎えに来た、もう二度と離さない」そう熱く叫ばれて、強く抱き締められる瞬間を……。
 そんな幸福な夢で目覚める朝は、苦しいくらい幸せで、切ないくらい愛しくて涙が出た。
「本当は、あなたと一緒に『新しい景色』が見たかった。けれど他の男性の妻となる私にはもう、あなたの迎えを待つ資格がないわ……」
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