な、ない!【奈菜と南雲シリーズ①】
(え、)
あまりの距離の近さにドキッと心臓が跳ねた時――
「デートしてくれるだけで礼になる」
耳元で小さく、低く、そう聞こえた。
「じゃあな。また仕事上がりに」
足を止めたままの私をその場に残したまま、彼はあっという間に会社のビルの中に戻ってしまった。
(え、え、なに?今のは何、なんなの?)
思考がぐるぐるとまわる。顔が燃えるように熱い。それこそ耳まで真っ赤だろう。
(デ、デート??南雲が?私と??それって……)
な、
ないないないないないないないない
そんなわけない!
自分にとって都合の良い解釈が思い浮かんで、私は全力でその思考を追い払おうと頭をブンブンと左右に振った。
南中からの暖かな日差しを背に、私はしばらくその場から動けなかった。
片手に握ったままのコンビニの袋が、風に吹かれてカサリと揺れていた。
(了)
あまりの距離の近さにドキッと心臓が跳ねた時――
「デートしてくれるだけで礼になる」
耳元で小さく、低く、そう聞こえた。
「じゃあな。また仕事上がりに」
足を止めたままの私をその場に残したまま、彼はあっという間に会社のビルの中に戻ってしまった。
(え、え、なに?今のは何、なんなの?)
思考がぐるぐるとまわる。顔が燃えるように熱い。それこそ耳まで真っ赤だろう。
(デ、デート??南雲が?私と??それって……)
な、
ないないないないないないないない
そんなわけない!
自分にとって都合の良い解釈が思い浮かんで、私は全力でその思考を追い払おうと頭をブンブンと左右に振った。
南中からの暖かな日差しを背に、私はしばらくその場から動けなかった。
片手に握ったままのコンビニの袋が、風に吹かれてカサリと揺れていた。
(了)