からふる。~第21話~
それにしても八代先輩どこに行っちゃったのだろう。


私が無事だって分かったらまた会場に戻っちゃって連絡しても繋がらないんだよね。


何事もなく、楽しく過ごせてるといいけど。


お代わりを取り終え、奥がわの席に着く。


私の目の前には姫ロリという独特のファッションをした前園桃子さん、その隣に山盛りのクッキーをチビチビ食べる黒羽くんが座っている。


お菓子オッケーならケーキも行けそうなものだけど、まさかのクッキーオンリー...。


確かにクッキー1箱食べちゃうくらい好きだもんね。


ここで食べ納めしてくれるといいんだけどな。



「今日は誘って下さりありがとうございます。ケーキビュッフェはホテルのものしか知りませんでしたので、今回このような場にこれられてとても嬉しいです」


「いえいえ。私を助けて下さったんですからお誘いするのは当然です。今日は私の奢りですから遠慮なくどんどん召し上がってください」


「なら、お言葉に甘えて」



お嬢様に奢らなくてはならない凡人の私。


そこは遠慮するんじゃないのかと思うけど、常識はずれなのがお嬢様。


私も半年ほど前までそうだったから分かる。


わがままで生意気で、何でもお金で手に入ると思ってて、あらゆることをお金で解決しようとする。


それがお嬢様思考なんだ。



「桃、ここはおれが払う。さあやに払わせちゃダメだ。さあやは自分1人で生計をたてるためにバイトしてるんだから」


「そうでしたか...。すみません。私少しばかり空気が読めなくて。では、今回は私が奢ります。先日父からお小遣いをもらいまして、まだ15万余っておりますので大丈夫です。お支払い致しましょう」


「いえ、そういう訳には...」


「やったぁ!おっごりー、おっごりー!」


「ちょっと凜くん!」


「気になさらないで下さい。紗彩さんにはクロがお世話になってばかりですから」



く、く、クロ...。


そんな呼び方してるんだ...。


ちらっと視線を移すとばっちり目が合って慌てて反らした。


剣先のような鋭い眼差しだった。


< 3 / 7 >

この作品をシェア

pagetop