溺愛したがるモテ男子と、秘密のワケあり同居。
すると。


「んーーー……」


「わわわっ」


なんと、そのまままた目を瞑り、再びぎゅーっと私を抱きしめたのだ。


ちょ、ちょっと!?


完全に胸のなかに閉じ込められて、身動きできなくなる。


いま、目があったよね? 完全に寝ぼけてるよ……。


「ちょっと……っ、朔くん……っ?」


脱出しようともぞもぞ体を動かしても、すごい力で抱きしめられているから抜け出せない。
 

ドキドキドキ……。


嫌でもドキドキは加速していく。


朔くんは寝ぼけていても、私はちゃんと意識があるんだから、ほんとに困っちゃう。


「んー……、……あ?」


すると、今度こそ目覚めたみたいで。


むくりと起き上がった。


私が同じベッドにいることに、今日は驚いてない。


きっと、今の状況が分かったんだよね。


「はぁ~」


って。


ため息をつきたいのは私だよ。


「……わりぃ……」
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